ロゴスの小径 〜心の空洞を埋める方法〜

やさしい「哲学」が世界観を変えます。「スピリチュアル」で幸せになれないような気がする方へ。

身近なドラマから読む哲学。

人は結局、明日を信じて、希望を持って生きる、「しかない」んですね。

朝の連ドラが最終回でした。不覚にも泣けました(笑)

キルケゴールが仕掛けたような、
わかる人にしかわからないメッセージ。

表面的な言葉尻を捉えて
感動もできるのかもしれませんが。

這いつくばってでも生きる
辛くても寂しくても
血反吐を吐いてでも、明日を信じて生きる。

昔の自分なら、感動どころか、
まるで陳腐な言葉にイラっとして
バカにしていたと思います、正直。

でも、今ならわかる。
結局そうして生きるしかないんだと。
そしてそれは、キレイな言葉なだけではなく、
とても残酷な現実である、ということ、
ヒロインはとてもとても強い、ということ。

母のように優しく
父のように純粋に
兄のように心広く

自由に
たくましく
誰かのために愛を捧げられるような人に

登場人物たちはやはり、
それぞれの生き様を示唆していたんですね。
それぞれが自分を必死に生きてる。

ちなみに、ロゴスの皆さまはとっくにお気づきの通り、
「人それぞれでいいんだ〜」という
すぐに消えてしまってまた悩みが復活するようなw
軽い示唆、ではないですよ。

お父さんは、自分の生き様のために、まわりを苦しめ
死に至るくらいですから。
つまり、それくらい切迫した、人それぞれ「でしかない」という
究極の現実です。

よく、人それぞれでいい、と聞きますが
いいも何も、
自分以外を生きられないですもんねw
誰かに言われたとおりの人生だとしても、
それを選んでいるのはやはり自分なので。

ナンバーワンよりオンリーワン、と言いますが
生き物はオンリーワンでしかありえません。
そのままのあなたでいい、
そのままであなたは特別、
って

そのままだろうが変わろうが、
自分は自分以外を生きられません。
つまり、オンリーワン、とは普通、ということですねw
ナンバーワン、は特別ですが。

ヒロインは言います。

より良い世界をつくれるように
生きるしかない。

これはソクラテスあるいはプラトン

神さまがもしいても頼らない
奇跡を起こすのは神ではなく私たち人間自身。

この世で一番大切な人が一生目覚めなくても
自分は自分であり続ける、と決めた。

サルトルはじめ多くの哲学者が
いろいろな角度でそう説きます。

ちなみにこの、「決めた」がポイントです。
自分であり続ける、と口先で言っても
決めないと、つまり覚悟を決めないと同じですから。

そういえば主人公はドラマの中で、何度も、

決めた

というのを
キーワードにしています。

酷い目にあって悩んでも、
主人公が「決める」ことで、新しい展開になります。
決めない限りは、いくら
〜〜しようと思う、と言っても展開は変わらないのです。

「明日を信じて自分自身を生きる」なんて
あまりに使い古された言葉だけど、
でもあれが真実なんですよね。
そうして生きるしかないんだから。

まあ、それも単に感動するきれいな言葉、で
一瞬気が無くになったような気がしても
自分の覚悟、つまり
「決めた」がないと結局また同じなんですけどね・・・

とはいえテレビ。
最後に脳死状態のヒーローは、
「眠り姫」に文字ってキスで目覚め
大喜びでハッピーエンドなんだろうな、
やや陳腐…と思いきや、

目覚めるのか?また手の反応だけかも??という
「未来はわからない」で終わってるあたりが
渋いですねw
一緒に見ていた家族は、これで終わり???と
びっくりしていました。
大団円、というのが無いんですもんね。
でも現実ってそれですよね。

脚本家の方のオリジナルストーリーだそうです。
家政婦のミタ
の脚本の、遊川さんとおっしゃる方だそうです。

本当におもしろかったなあ・・・
ちょうどこれが始まった頃に始めた
私の哲学の理解の方向は
間違ってなかったんだという確認にもなって
うれしいw

ヒロインが言う、
人が言う、と書いて、「信じる」だと。

これってまさに
ロゴス、言葉の力。
はじめに言葉ありき。
西洋哲学の思想のベースです。
それも示唆していて面白かったな・・・。

(とはいえ西洋思想だけでは
幸せなれないです、東洋人はw
それについてはまた宗教学のお話で!)

しかし人生とはかくも残酷なものか。
未来に立ち向かう、というと耳触りはいいけれど
正確には
「立ち向かうしかない」なんですよね。

ニーチェ以来、神は死んだ。
神はいない。その苦しさ。
誰かが自分を創ったのではないその苦しみと不安。
人生の目的の無さ。
それではあまりに苦しい。

では、
神はいる、としましょう。
この世界に。

今のあなたは幸せですか?
神がいるこの世界で、幸せに満たされて生きていますか?
神がいても、
自分で選び、自分で責任追うしかない、
幸せに満たされるだけ、はありえない人生。
それが真実ではないですか?

だったら
やはり自分で幸せになるしかないんですよ。

主人公のように、
未来はわからないので、何か目的を達成できるかどうかは
誰にもわかりません。
けれどそれでも、自分で選ぶしかない。

サルトルの理論。

この恐ろしく残酷で、「自由という刑に処せられている」私たち。
それでもそれも立ち向かい
未来に投企するしかない、人間。

そこを読み取れれば
このドラマの根底が読める、つまりは
それを自分の糧とできるのですが。

「人間だもの。」的な
癒され、なんだか心が楽になった気がする、
という浅い触れ方だと
翌日には癒しが消えている、
また同じ悩みを繰り返す、になってしまうのですがw
(こちらは中島義道より)

そういえばヒーローは、ヒロインのソクラテスのダイモーンの女神
というポジションかと思っていましたが、
ヒーローは「神」を示唆していたんですね。
だから最後にヒロインが、
お母さんみたいに優しく、
お兄さんみたいに心広く・・・と
家族を挙げていく中に、彼が含まれていないんです。

神、つまりヒーローはそういえば
「これからの人生、いつでもあなたのそばにいて
あなたを応援します。
でも人生の大事な決断は全部あなたがしてください。
僕はそれに従います」と言っていました。

それ、神のポジションですよね。
選択は自分でするしかないんだと。
でも、どう選択しても神は寄り添ってくれるものだ、と。

はじめは人の真実の声が聞こえることで
ヒロインを助けてくれた神、ヒーローは
そのうち能力を失い、
ヒロインはそれに頼らず生きていくことになります。
そして最後にはヒーローが脳死状態になることで
神を失った状態のヒロインが描かれるわけです。

神を失い、全てにやる気をなくし
生きる気力を無くすヒロイン・・・しかし
神がなくても、ヒーローが目覚めなくても
明日を信じて生きていく、と決めるわけです。

ヒーローへの愛の象徴であるホテル
’(ヒーロー本人、ではないあたりに着目。
恋愛を示しているのではないということです)と
友だちたち
(これはアリストテレスですねー!人生に一番大事なものは友情)
だけは守る、と。

つまり
守る物は「自分の何かへの愛」(誰かとの間の恋愛、ではない)
「自分の友情」(友達その人ではない)
それがあれば明日を信じて生きていける、ということに
なりますね。

うーん。
テレビなんて、とバカにしていたけれど
たくさん学べました。

このドラマ、あきらかに哲学が学べる!というのがあれば、
ぜひ教えてください。
基本ドラマはいっさい見ないので、気づかないことが
多いです・・・(>_<)

いかがでしたでしょうか。

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